自動車のミラーは重要なパーツ、正しい知識を備えて充実したカーライフを

目次
(1)安全運転の基本は視界の確保
自動車には数多くの部品がありますが、それぞれの部品が事故を防ぐための役割を担っています。
その中でも自動車ミラーは、運転中から駐車時の視界を確保するために活躍してくれる大事な部品のひとつです。
当記事では、自動車ミラーについて基本的なことを項目別に解説いたします。
正しい知識と取り扱いで安全なカーライフをおくりましょう。
(2)自動車に欠かせないミラーの種類とは?
自動車のミラーには、2種類のミラーがあります。
1つは室内に取り付けられているミラーで、ルームミラーやバックミラーと呼ばれています。
ルームミラーは車内フロントガラスの中央上部に取り付けられていて、車の真後ろを確認する役割をしています。
もう1つはドアミラーやフェンダーミラーといって車体の外側に設置されているミラーです。
ドアミラーやフェンダーミラーはサイドミラーとも呼ばれています。
ドアミラーは、前席の両側ドアに取り付けられていて、後方確認をするためのミラーです。
フェンダーミラーは、車体ボンネットの両側(左右対称)に取り付けられているもので、ドアミラーと同じ役割を担っていますが、昨今では主にタクシーや公用車に装置されているミラーです。
(3)ルームミラーの基礎知識
3-1.ルームミラーの定義
  • ・ルームミラーとは、車内フロントの中央上部にあるミラーのことを指し、ドアミラーやフェンダーミラーも含めバックミラーと総称します。
  • ・バックミラーとは和製英語で、法令用語(道路運送車両法の保安基準・第44条)では後写鏡(こうしゃきょう)と表記されています。
  • ・ルームミラーは車の真後ろを視認するためのもので、道路運送車両法では設置を義務付けられています。
  • 3-2.ルームミラーの役割
  • ・運転中の後続車の確認
  • ・運転中の後部座席乗員の安全確認
  • ・駐車する際の後方確認
  • ・発進時の後方確認
  • 3-3.ルームミラーの特徴
    ルームミラーは、後ろから強い光が当たっても眩しくないように、2枚の合わせ鏡が使われていて、角度を変えることで眩惑を抑えることができますが、夜間やトンネル内での運転中は、後続車のヘッドライトが反射して眩しいことがあります。
    そのような時は、ルームミラーの下部中央にあるレバーを手前に引いてミラーの角度を調整することで眩しさが軽減されます。
    このレバーのついたルームミラーを「防眩式ルームミラー」といいます。
    近年では、光に感知して自動的に反射率を落とす「自動防眩式」のミラーの需要も高まっています。
    また、ルームミラーは、事故などで衝撃を受けたときに乗員のケガを防ぐために“可変式もしくは脱着式であること”が設置基準とされています。
    3-4.ルームミラーの正しい位置と調整方法
  • ①運転席に座ってシートの位置を調整します。
  • ②運転する位置が決まったら、ルームミラーの位置を調整しましょう。
  • このとき、水平の位置を保ちながらリアウィンドウが全て見える位置に角度を調整します。
    3-5.ルームミラーのメンテナンスや故障と対策
  • 鏡面の汚れ
  • ルームミラーが汚れていると真後ろの視界が悪くなり危険を伴うので、定期的に水拭きや乾拭きをしましょう。
    とくに車内で喫煙する場合はヤニが付着します。
    ヤニは水拭きでは落ちませんので専用のクリーナーを使って付着した汚れを取り除きましょう。
  • 鏡面の破損や傷
  • 鏡面が破損したり傷がついた場合は乗員も危険ですので、早めの交換をおすすめします。
  • ルームミラー自体のぐらつきやぶら下がり
  • 樹脂製品は暑さに弱く劣化しやすいので、取り付け部分などを定期的に点検しましょう。
    (4)サイドミラーの基礎知識
    4-1.サイドミラーの定義
    ドアミラーはサイドミラーと呼ばれることが多く、道路運送車両法の保安基準第44条(後写鏡)により、前席ドアの左右外側への設置を義務付けられています。
    日本では、フェンダーミラー(ボンネットに設置するミラー)しか認められない時期もありましたが、1983年に法令の緩和により、昨今はドアミラーが主流となっています。
    4-2.サイドミラーの役割
  • ・運転中の後続車の状況確認
  • ・運転中の車線変更や右左折時の後方確認
  • ・駐車をするときの障害物や壁との距離感の確認
  • ・車庫入れをする際の境界線の確認
  • 4-3.サイドミラーの特徴
    サイドミラーは真後ろを見ることができませんが、車体の右後方や左後方が見えるため、運転中や駐車時、発進時など車を動かす時にはとても活躍してくれる部品です。
    走行中や駐車時など運転者の見やすい角度に合わせて調整できることが特徴ですが、角度のピントがずれていると死角ができることもあるので注意が必要です。
    4-4.サイドミラーの正しい位置と調整方法
  • 運転席側のサイドミラー
  • 上下方向は、3分の1~4分の1程度の割合で地面がうつるようにする。
    左右方向は、4分の1~5分の1程度の割合で車体がうつるようにする。
  • 助手席側のサイドミラー
  • 上下方向は、半分もしくは3分の1の割合で地面がうつるようにする 左右方向は、4分の1程度の割合で車体がうつるようにする サイドミラーは、右左折時の際のバイクや自転車などの存在確認、車線変更時の後続車の状況確認、駐車時の境界線や障害物の確認するときに重要なミラーです。
    巻き込み事故を起こさないことやスムーズな駐車や車庫入れは、サイドミラーの角度や位置が肝になっていると言っても過言ではありません。正しいドライビングポジションで調整しましょう。
    4-5.サイドミラーのメンテナンスや故障と対策
  • サイドミラーのくもり
  • サイドミラーは車外に設置されていることから、汚れがつきやすかったり雨や雪のしずくでくもったりします。
    鏡面のくもりやしずくなどは、視界が悪くなりとても危険です。
    その対策方法をご紹介します。
    親水ミラー
    光触媒の技術を使い、結晶化した酸化チタン(Ti02)膜をミラー表面に成膜することで、ミラー表面の汚れを分解し、雨のしずくを親水化して後方視界を確保する技術があります。
    この光触媒の親水ミラーは、太陽光に含まれる紫外線により性能を発揮しますので、ミラーを太陽光に当てる必要があります。
    また、親水ミラーの表面に、洗車機で使われるワックスや撥水コート剤・解氷材を付着させると、性能が劣化しますので、その場合は中性洗剤でミラー表面を十分に洗う必要があります。
    但し、付着したワックス・コーティング剤の種類によっては、性能低下が復活しない場合がありますので、出来るだけ付着させない注意が必要です。
    ヒ―テッドドアミラーの設置
    ヒ―テッドドアミラーとはリアウィンドウなどと同様に熱線が内蔵されていて、ボタンひとつで水滴対策ができる優れものです。
    コーティング材の塗布・スプレー
    自動車購入時にコーティングをしていないミラーに、コーティング剤やスプレーの塗布により親水加工や撥水加工の処理を行う方法が有ります。
    親水加工とは、ミラーに付着した雨水をなじませて流れ落ちさせる加工法です。
    撥水加工とは、付着した雨水を水玉状にして、はじき飛ばす加工法です。
    「故障かな?」と思ったら
    早めの対策を!
    サイドミラーはモーターやスイッチの経年劣化で動作に不具合を生じることもあります。
    また駐車中に人や物がぶつかってしまうという不慮のトラブルも避けられませんので、以下のような不具合を感じたら、できるだけ早めに販売店やディーラーに相談しましょう。
  • ・サイドミラーが動かない・開かない
  • ・サイドミラーが電動スイッチを入れても動かない
  • ・片方のサイドミラーだけしか動かない
  • ・ずっと音がしている
  • ・音はしているが動かない
  • ・ミラーに傷がついた、ミラーが割れた
  • (5)法令における自動車ミラーの設置基準
    以下に、道路運送車両法の保安基準第44条(後写鏡)における自動車ミラーの設置基準を記載しておきます。
    適合するもの
  • ・車体の外側に設置するミラーにおいては、歩行者に接触した場合に衝撃を緩衝できる構造である(可変式・落下式などを指す)
  • ・車内のミラーにおいては、事故などで衝撃を受けた時、乗員のケガを防ぐために脱落する構造である(可変式もしくは脱着式)
  • ・走行中の振動で機能が損なわれないように取り付けられている
  • ・方向の調節が簡単で一定方向を保持できる
  • ・運転席から後方50メートルまでの間にある車両の状況を確認できる
  • ※国土交通省・道路運送車両の保安基準第44条の細目告示第3節第224条(参照)
    ※国土交通省・道路運送車両の保安基準第44条(後写鏡等)参照
    (6)まとめ
    ルームミラーやサイドミラーは、運転中も駐車をするときにも必要不可欠な装置です。
    運転者の姿勢やシートの位置や高さによって見え方が異なりますので、運転前には必ず確認することが大切です。
    また、日頃からメンテナンスも怠らず、視界の安全を保つことを心がけましょう。